貧血が疑われる幼児の割合が4.1%、鉄チェック活動で得られた知見を国際学術誌BMC Pediatrics誌で発表
株式会社 明治
更新日時:10月7日 11時00分
1歳児におけるフォローアップミルク摂取量が血中ヘモグロビン濃度の推定値と関連することも確認
株式会社 明治(代表取締役社長:八尾 文二郎)は、明治ホールディングス株式会社(代表取締役社長:松田 克也)および相模女子大学堤ちはる名誉教授らの共同研究グループと、日本の1~5歳の幼児12,714名の血中推定ヘモグロビン濃度(SpHb)を採血不要で測定し、貧血が疑われる幼児の割合が4.1%(性別・月齢別のサブグループでは2.3~6.6%)であることを改めて確認しました。さらに、12~23カ月児において、鉄を強化したフォローアップミルクの摂取量 とSpHbとの間に正の相関があることを新たに明らかにしました。
本成果は、小児科学分野の国際学術誌『BMC Pediatrics』(2026年)に掲載されました※1。
【研究成果の活用】
本研究は、2022年11月より当社が全国のベビー専門店等で実施してきた「鉄チェック活動」の1万人達成を受けた最終解析の学術報告です。2023年11月の中間報告(4,414名、貧血が疑われる幼児の割合5.3%)※2、2025年3月の1万人達成報告(12,714名、同4.1%)に続く続報として、今回初めて「フォローアップミルクの摂取量」と血中推定ヘモグロビン濃度との関連を明らかにしました。
当社は本知見を、幼児期の鉄不足の解消に貢献する栄養サポート商品(フォローアップミルク「明治ステップ」シリーズ、こどもを育てるえいよう「明治ミラフル」シリーズ等)の開発・情報発信、および保護者・行政・医療関係者への鉄摂取啓発活動に活用してまいります。
【研究の目的】
乳幼児期の鉄欠乏性貧血は、神経発達や精神運動発達への影響が報告されており、早期の実態把握と対策が重要です※3。一方で、日本では若年児を対象とした大規模な貧血実態調査は限られていました。本研究は、非侵襲ヘモグロビン測定機器を用いて、①日本の1~5歳幼児における貧血疑いの割合を大規模データで推定するとともに、②フォローアップミルクの摂取量とSpHbとの関連を明らかにすることを目的としました。
※1 Jinno S et al. BMC Pediatrics. Published online July 10, 2026. DOI: 10.1186/s12887-026-07289-1
※2 Nakamura Y et al. Biosci Biotechnol Biochem. 2025;89:417–422.
※3 Baker RD et al. Pediatrics. 2010;126:1040–1050.
関連リリース
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2022/1115_02/index.html
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2023/1122_01/index.html
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2025/03_12/index.html
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202610067429-O4-KU3U6V4X】
(参考)本研究論文のデータから作成した1~5歳の幼児のヘモグロビン濃度の分布図
「鉄チェック活動」にご参加いただいた保護者 にお渡しする資料からの抜粋
論文内容
【タイトル】
Frequency of suspected anemia in Japanese children aged 1–5 years using noninvasive hemoglobin measurement and influence of iron-fortified growing-up formula intake※1
(1~5歳の日本人小児における非侵襲ヘモグロビン測定による貧血疑いの頻度と、鉄強化フォローアップミルク※4摂取の影響)
【方法】
2022年11月~2024年8月に全国のベビー専門店等でSpHbを測定した幼児のうち、保護者の同意が得られた13,642名を本研究に組み入れました。SpHbの測定には、パルスCOオキシメータRad-67® (マシモジャパン株式会社)を用いました。月齢、性別、出生体重、給食摂取の有無、およびフォローアップミルクの摂取有無を保護者より聴取し、2024年1月以降はフォローアップミルクの摂取量・摂取頻度を定量的に収集しました。2024年1月以降に参加した12~23カ月児を対象に、SpHbを目的変数とする重回帰分析を実施しました。統計解析はR 4.3.1およびSPSS 25.0を用いました。
本研究は相模女子大学倫理審査委員会の承認を受け、UMIN-CTR(UMIN000049469)に登録しています。
13,642名のうち、データに欠損のない1~5歳の幼児12,714名の平均SpHbは13.2 g/dLで、貧血疑いの割合は全体で4.1%、性別・月齢別のサブグループでは2.3~6.6%の範囲でした。この割合は米国(3.2%)※5や豪州(2.0%)※6の約1.3~2倍に相当し、日本の幼児で貧血疑いの割合が相対的に高い状況が改めて確認されました。
12~23カ月児2,500名を対象とした重回帰分析では、月齢・性別に加え、フォローアップミルクの1日あたりの摂取量 とSpHbとの間に統計学的に有意な正の相関が認められました(p = 0.02)。ただし決定係数は0.012と小さく、SpHbの個人差はフォローアップミルク摂取量以外の多くの因子によって説明されることも示されました。
【考察】
本研究は、1万人規模の非侵襲測定データを用いた日本初の大規模観察研究として、幼児期における貧血疑いの実態を明らかにするとともに、フォローアップミルクの「摂取量」が血中推定ヘモグロビン濃度と正の相関を示すことを初めて定量的に示した点に意義があります。過去の中間解析ではフォローアップミルク摂取の「有無」とSpHbとの間に明確な関連は認められませんでしたが、今回、定量的な調査データを用いることにより、摂取量との関連を検出しました。
一方、決定係数が0.012と小さいことは、幼児期の貧血が食事全体・体格・社会経済的要因など多因子性であることを反映しており、フォローアップミルクのみで貧血が予防できることを意味するものではありません。今後は縦断的な追跡研究や、より詳細な食事評価を含む研究を通じて、幼児期の鉄摂取不足の予防や改善に貢献してまいります。
注意:SpHbはスクリーニング指標です。貧血や鉄欠乏の確定診断はできません。
※4 文献内では国際的表記としてgrowing-up formula と記載
※5 Gupta P et al. Nutrients. 2016;8:330
※6 Mackerras D et al. Asia Pac J Clin Nutr. 2004;13:330–335.


