NITE、ガスこんろの事故防止対策報告書を公表
独立行政法人製品評価技術基盤機構
更新日時:9月25日 10時00分

~高齢者の着衣着火を防ぐ~

 独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下、NITE(ナイト))[理事長:長谷川史彦、本所:東京都渋谷区西原]は、「ガスこんろにおける着衣着火」に関する「事故防止対策報告書」を公表しました。

 「ガスこんろ」の重大製品事故では、65歳以上の高齢者における重傷・死亡発生率が2割程度であり、介護ベッド・手すりや電動車椅子のような高齢者特有の製品と比較して高くはありません。しかし、事故発生件数は石油ストーブに次ぎ、2番目に多い製品です(図1参照)。

 「ガスこんろ」の重大製品事故に至る発生要因は多岐にわたります。本報告書では、高齢者が被害にあった重傷・死亡事故に着目し、その中でも発生件数が多く継続的に発生している「着衣着火」を代表的な危害シナリオとしてリスクアセスメントを実施し、その結果を踏まえた事故防止対策について取りまとめました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202609176134-O1-UQUdDVrm】

図1 高齢者を対象とした重大製品事故データ分析1)

 

○ガスこんろにおける着衣着火の事故防止対策報告書

https://www.nite.go.jp/jiko/report/risk/gasstove_chakui.html

○YouTube NITE official ガスこんろ「着衣着火」

【動画:https://www.youtube.com/watch?v=wJR_SEgP7fI】

 

1)○経済産業省「高齢者製品事故防止に関するハンドブック」 から出典

https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/pdf/koreisyahandbook.pdf

※ガスこんろの赤枠部分はNITEにて編集

 

■報告書の概要

【ガスこんろ関連事故の発生状況】

 国の重大製品事故の制度が開始した2007年度以降、NITEが収集したガスこんろに関する事故情報は1,753件です。このうち、人的被害に至った案件(456件)のうち、被害者年代が判明する案件(267件)を対象に60歳未満と60歳以上に層別すると、いずれの人的被害においても60歳以上の事故件数が60歳未満よりも多くなっています(図2参照)。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202609176134-O2-SJjRe7sG】

図2 被害書年代別の人的被害内訳


 人的被害が死亡及び重傷に至った60歳以上の事故63件のうち、危害シナリオが判断又は推定できる33件を対象に、その事故要因としては、「消し忘れ・放置」が15件(46%)、「着衣着火」が13件(39%)の2つに大別されます。「その他」に含まれる5件(15%)の危害シナリオは、ガスこんろ上に置いた可燃物への引火や、鍋等の落下による火傷となります(図3参照)。

 また、2007年度以降の危害シナリオ別事故発生件数の年度推移を示します(図4参照)。2008年度以降、「消し忘れ・放置」の事故は減少し、近年ではほとんど発生していません。一方で「着衣着火」の事故は、発生件数こそ少ないものの継続的に発生しています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202609176134-O3-7XI6zGvS】

図3 危害シナリオ別事故割合 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202609176134-O4-E08OoVnV】

図4 危害シナリオ別事故発生件数の年度推移


【リスクアセスメントの概要】

 NITEが収集したガスこんろの事故情報をもとに経済産業省発行の「リスクアセスメントハンドブック」の内容に沿って、リスクアセスメントを実施しました。危害シナリオは、リスクアセスメントシートを作成し『ガスこんろを用いて調理中、ガスこんろの炎が衣服に着火して死亡した。』と設定しました。

 また、リスクは、「FTA」(Fault Tree Analysis:事故や故障の原因分析手法)により、危害の程度:Ⅳ(死亡)、発生頻度レベル:2と分析し、B3領域と推定しました。その結果を「R-Map」(マトリックスでリスクレベルを見える化するアセスメント手法)により評価しました。このリスクはALARP領域、すなわち「最高科学技術水準をもってしてもリスクを受け入れ可能な領域まで低減する」領域であるため、リスクの低減が必要となります。

 そのため、以下をリスク低減方策としました。

 1. 鍋なし検知機能を実装する。

 2. 人感・対物センサーを実装する。

 3. 防炎性の高いエプロンやアームカバーを着用する。

 これらの低減策を施すことで、推定死亡リスクがC領域まで下がり、許容可能なリスクレベルとなりました(図5参照)。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202609176134-O5-XW9LYYh1】

図5 ガスこんろにおける着衣着火による死亡事故のR-Map

 

■独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センターの概要

 NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に年間およそ2千件の事故情報が寄せられます。

 製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。