SBTi、日本企業の気候変動リーダーシップの高まりを受け、「企業ネットゼロ基準」第2版の全文和訳を公開
Science Based Targetsイニシアティブ(SBTi)
更新日時:8月7日 09時30分

2026年8月7日
科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202607132452-O1-126rsn6i

 

CDP、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)によって2015年に共同設立されたグローバル組織である「科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)」は、「企業ネットゼロ基準 第2版(Corporate Net-Zero Standard Version 2.0)」の日本語版全文訳を公開しました。

 

>> 「企業ネットゼロ基準 第2版」の日本語版全文訳は、こちらからダウンロードいただけます。

 

日本語版の公開は、気候変動対策における日本のグローバルなリーダーシップと、ネットゼロ移行を担うアジアの重要性の高まりを示すものです。 本基準全文の日本語化により、科学的根拠に基づくガイダンスが日本企業の実情(ビジネスの現実)に即したものとなり、目標から具体的なアクションへの確実な移行をサポートします。

 

日本はすでに科学的根拠に基づく気候変動対策の最前線に立っており、SBTiにとって最大の市場です。SBTiの承認(検証)済み目標を持つ企業は世界に11,000社ありますが、そのうち実に2,500社以上が日本に本社を置いており、全体の約4分の1を占めています。

 

アサヒグループホールディングス株式会社 グループサステナビリティ統括責任者の Preeti Srivastav氏は、次のように述べています。 「企業ネットゼロ基準 第2版は、企業が実効性のある気候変動対策を進めるために必要な要素を網羅しています。さまざまな企業の実情に即した、信頼性の高い実用的なフレームワークであり、単なる目標設定にとどまらず、確実な成果へと結びつけるための具体的なアクションを示しています」

 

SBTi史上最も包括的な本基準の日本語版は、日本にとって極めて重要なタイミングで公開されました。 国全体で化石燃料への依存からクリーンエネルギーへと移行する「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」の取り組みが進む中、企業は、移行リスクの管理、グローバルなサプライチェーンからの期待への対応、そして信頼性のある脱炭素経路の提示という、かつてないプレッシャーに直面しています。

 

SBTiの最新データは、企業が科学的根拠に基づく目標設定(SBT)にいかに高い価値を置いているかを浮き彫りにしています。SBT認定から2年以上が経過したアジア企業の調査によれば、75%が「戦略の社内連携と長期ビジョンが強化された」とし、71%が「サプライチェーンや顧客からの要請に応える上で有用である」と回答しました。加えて、70%が「競争力の向上」を、80%が「将来の規制に対するレジリエンスの獲得」を実感していることが分かっています。

 

本基準は、2回のパブリックコメント、パイロットテスト、技術評議会および取締役会による承認といった、SBTiの正規の手順(SOP)を経て策定されました。 日本企業が「野心的な目標の設定」から「インプリメンテーション(実践)」の段階へと進み、気候変動目標を中核となるビジネス戦略や意思決定に組み込むことを支援します。主な改訂ポイントは以下の通りです。

 

◾️ 現実世界の移行経路に合わせた柔軟性の向上: 企業は、自社のセクター、規模、事業環境に合わせてネットゼロ戦略をカスタマイズできるようになります。これにより、日本特有の経済およびエネルギー情勢においても、野心的でありながら達成可能な目標を設定することが容易になります。

 

◾️ 実行と進捗確認の重点化: 日本企業が科学的根拠に基づくネットゼロ経路とビジネスの意思決定を橋渡しできるよう支援すると同時に、透明性の向上、進捗状況の追跡、および継続的な改善を長期的に後押しします。

 

◾️ Scope 1(直接排出): すべての企業に対し、Scope 1排出量の100%をカバーする目標設定を義務付けます。新基準では、自社オペレーションからの排出量を脱炭素化するための専用の要件と手法が導入され、企業は直接的な排出源に集中して取り組むことができます。

 

◾️ エネルギー由来の排出(Scope 2)に対するより実践的なアプローチ: 本基準では、排出量削減または低炭素電力の調達目標を求めています。また、電力証書の調達地域における粒度(グラニュラリティ)を高めるとともに、時間的マッチング(24時間365日の再エネ調達の一致)を行う企業を任意で評価・表彰する仕組み(リーダーシップ認識フレームワーク)を導入します。

 

◾️ バリューチェーン排出(Scope 3)の選択と集中、実行可能なアプローチ: 企業は最も重要な(マテリアルな)排出源を優先し、自社が最も影響力を行使できる領域で行動を起こすことができるようになります。これにより、複雑なサプライチェーンの脱炭素化をより管理しやすく、かつ効果的なものにします。

 

◾️ 目標達成に向けた「ベスト・エフォート」アプローチの導入: 外部的な制約が存在することを認識しつつ、企業に対しては、透明性を持った行動、障壁の開示、および進捗に向けたあらゆる手段の活用を求めます。これにより、目標達成において課題に直面している企業であっても、軌道修正を行い、システムレベルでの変革を促すことが可能になります。

 

◾️ 現在進行中の排出に対する企業の取り組みへの評価: 自社から排出され続けている温室効果ガスの影響に対処するための、企業による任意の取り組みを評価するメカニズムを導入します。これにより、企業が気候変動対策におけるリーダーシップを示すための十分な機会が提供されます。

 

SBTiのCEOであるデイビッド・ケネディ氏は次のように述べています。

 

「私たちは現在、気候変動対策における極めて重要な局面に立っており、企業が高い目標を具体的な行動へと移すための支援を必要としています。この『企業ネットゼロ基準 第2版(V2.0)』は、まさにその支援を提供するものです。ネットゼロへの移行において、日本は今後ますます決定的な役割を果たすことになるでしょう。新基準の日本語版全文訳のリリースは、企業の気候変動対策の未来を牽引するリーダーとして、私たちが日本に寄せている信頼の証なのです」

 

*本基準で導入された主要な機能は、すでに科学的根拠に基づく目標(SBT)を設定している企業、および現在の「企業ネットゼロ基準 第1.3.1版(V1.3.1)」を用いて目標の策定や更新を行っている企業の両方が利用可能です。

 

アサヒグループホールディングス株式会社の事例は、添付資料からダウンロード可能です。

 

SBTi について

SBTi (Science Based Targets initiative)は、企業の気候変動対策を推進する組織です。世界の気温上昇を破滅的なレベル以下に抑え、遅くとも2050年までにネットゼロを達成するために必要な基準、ツール、およびガイダンスを策定し、企業がそれらに整合した温室効果ガス(GHG)排出削減目標を設定できるように支援しています。 SBTiは英国の登録慈善団体であり、子会社のSBTi Services Limitedが目標の検証(承認)サービスを運営しています(SBTiと合わせて「SBTiグループ」と総称されます)。

 

 

プレゼンテーション