水素社会を支える次世代シール技術を国際シンポジウムにて発表
NOK株式会社
更新日時:6月30日 16時00分
日独の産学官が連携した国際共同研究プロジェクトの成果報告
NOK株式会社(本社:東京都港区芝大門、代表取締役 社長執行役員 グループCEO:鶴 正雄、以下「NOK」)は、2026年5月12日(火)、ドイツ連邦材料試験研究所(以下「BAM」)(※1)、九州大学、およびフロイデンベルグ・グループ(ドイツ)と共同で、国際シンポジウム「Sustainable Sealing Materials for Hydrogen」をBAMベルリン会場およびオンラインのハイブリッド形式にて開催しました。
本シンポジウムには、国内外の産学官の専門家ら計75名(うち日本から約21名)が参加しました。上記4機関が参画した国際共同研究プロジェクト「安全な水素供給ネットワークに向けた持続可能で水素適合性のあるシール材(Sustainable and Hydrogen-Compatible Sealing Materials for Safe H₂ Supply Networks、略称:SusSeal4H2)(※2)」の成果を中心に、水素社会の実現に向けたトライボロジー技術や次世代のシール材料について市場ニーズから学術的評価にいたるまで多角的な発表と議論が行われました。
NOKは主催者の一員として、水素インフラ向けシール材料の開発成果やライフサイクルアセスメント(LCA)評価、および日本のゴム業界におけるサステナビリティの現状について発表しました。発表後の討議では、原材料メーカーの環境対応への投資がタイヤ向けに集中し、水素インフラに不可欠なシール材料などの特殊ゴム分野の開発・流通が遅れがちになっている現状が共有されました。一方で、製品分野に関わらずゴム製品共通の技術課題は数多く存在することから、「SusSeal4H2」のような取り組みにシールメーカーが主導して参画し、成果を上げたことは、業界全体のサステナブル化を加速させるうえで極めて意義深いという結論に至りました。
NOKは、本プロジェクトおよび本シンポジウムで得た知見を踏まえ、カーボンニュートラルを実現する水素シール分野の研究・技術開発に今後も注力してまいります。
■当日の主な発表内容と成果
本シンポジウムでは、プロジェクト概要の説明に続き、水素インフラの将来展望や市場ニーズ、シール材料の開発、水素環境下におけるトライボロジー特性評価など、水素インフラを支える次世代のシール材料に関する幅広いテーマが取り上げられました。NOKからは、今後の水素社会を支える材料開発の具体的な成果と、業界の持続可能性向上に向けた提言として、以下の2テーマを発表しました。
1)「水素適合性を持つサステナブルシール材料の開発と環境影響評価」
(発表者:NOKグループR&D 技術研究部 トライボロジー研究課 青柳 彩子)
過酷な水素環境に耐える耐久性と地球環境への低負荷を両立させるため、様々なゴムや樹脂材料の特性を網羅した特性マップを構築しました。この特性マップを活用し、水素インフラ用シールに最適な材料や製造プロセスを効率的に設計する技術を確立。LCA評価を通じて、製造工程における主なCO2排出要因を特定したことで、材料の製造段階から具体的なCO2削減アプローチを可能にし、水素サプライチェーン全体の環境負荷低減につながる技術成果を発表しました。
2)「日本のゴム産業におけるサステナビリティ活動の現状と展望」
(発表者:NOKグループR&D 技術研究部 トライボロジー研究課 青木 岳也)
日本国内の調査データに基づき、日本のゴム産業において、自動車産業のタイヤ分野ではリサイクルやバイオマス化といった最先端の取り組みが進む一方、シールなどの非タイヤ製品では、リサイクルの仕組み作りにおいて技術的・法的な課題が残されていることを指摘しました。この課題に対し、シール材料の長寿命化やリサイクルを可能にする材料技術の具体例を提示することによって、特殊ゴム分野での環境負荷低減への道筋を示しました。あわせて、こうした壁を乗り越え、ゴム産業におけるサステナビリティを向上する手段として、国際的な産学官連携の重要性を提案しました。
■シンポジウム開催の背景と狙い
2050年のカーボンニュートラル達成に向け、次世代エネルギーとして期待される水素の供給網では、「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」という4つの段階すべてにおいて、極低温や高圧環境に耐えうる高度なシール技術が求められています。本シンポジウムは、次世代のサステナブルなシール材に関する研究成果を広く公開し、グローバルな議論を深めることを目的に開催されました。
※1 ドイツ連邦材料試験研究所(BAM):材料科学および化学技術における安全性と信頼性の向上を目的とした、ドイツ経済・気候保護省直轄の連邦研究機関。
※2 SusSeal4H2:日本の科学技術振興機構(JST)の戦略的国際共同研究プログラム(SICORP、助成コード:JPMJSC2121)、およびドイツ連邦研究技術宇宙省(BMFTR、プロジェクト番号:01DR23001)による支援のもと、日独の産学官が連携して水素インフラを支える次世代シール技術の開発を推進したプロジェクト。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202606301727-O6-fA56Y0zx】
■NOK株式会社について
NOKグループは「Essential Core Manufacturing ― 社会に不可欠な中心領域を担うモノづくり」を掲げ、豊かな社会の根幹となる「安全」と「快適」を支えています。 15の国と地域に所在する約38,000人で、積み重ねた基礎研究に基づく製品開発、高品質での大量・安定生産を実現しています。 自動車をはじめとするモビリティ、PCやスマートフォンに代表される電子機器、医療・ヘルスケア機器、産業用ロボット、そして人工衛星など、あらゆる産業分野に技術・製品を提供し続けます。



