ワクチン陰謀論はどのように形成されるのか、論文が学術誌 Scientific Reportsに採択
学校法人立正大学学園
更新日時:8月5日 12時30分

― 日本で5年間にわたり追跡したパネル調査から見えたメディア不信との関係 ―

 立正大学(本部:東京都品川区、学長:北村行伸)経営学部の山本仁志教授らの研究チームは、2020年から2024年まで5年間にわたり同じ人々を追跡したパネル調査データを分析し、新型コロナワクチンに関する陰謀論的信念とメディア不信との関連を明らかにしました。研究成果は2026年8月3日に英国Nature Publishing Groupのオンライン学術誌 Scientific Reports に掲載されました。

 

 本研究では、2020年から2024年まで毎年実施した縦断調査データを用い、人々のメディア利用、メディア不信、主観的メディアリテラシーなどが、後年のワクチン陰謀論的信念とどのように関連するかを分析しました。

 

  図1:ワクチン陰謀論的信念の分布。制度不信に関わる信念(A)は比較的広くみられた一方、極端で非現実的な信念(B)を支持する人は少数でした。

※論文( DOI: 10.1038/s41598-026-57049-5)中の図を引用しております。 



 分析の結果、ワクチン陰謀論的信念の中でも、「政府や製薬会社が情報を隠している」といった制度不信に関わる側面と、「ワクチンにマイクロチップが埋め込まれている」といった極端で非現実的な側面とでは、分布や関連要因が異なることが示されました。

 特に、制度不信に関わる陰謀論的信念は、マスメディアへの猜疑心が強い人や、その猜疑心がコロナ禍の数年間で増加した人ほど高い傾向がみられました。

 一方で、「マイクロチップ埋め込み」のような極端な陰謀論を支持する人は少数であり、研究チームは、SNSなどではこうした極端な主張が相対的に目立ちやすい可能性がある点に注意が必要だと指摘しています。

 また本研究は、日本のように欧米ほど強い政治的分断が存在しない比較的「中道的」なメディア環境でも、陰謀論的信念が形成されうることを示した点でも重要です。

 

 【 山本仁志教授のコメント】

 陰謀論的信念というと、極端な主張ばかりが注目されがちです。しかし今回の研究では、より広く存在していたのは、社会やメディアに対する持続的な不信感と関連する側面でした。誤情報対策を考える際には、単に情報の正誤だけでなく、人々がどのような情報環境の中で不信感を形成していくのかを理解することが重要だと考えています。

 

 【 論文情報】

掲載誌: Scientific Reports 

論文タイトル: Longitudinal predictors of vaccine conspiracy beliefs: findings from a five-wave panel study in Japan 

著者名: Yamamoto, H., Suzuki, T., Ogawa, Y., & Umetani, R. 

掲載日: 2026/8/3 

DOI: 10.1038/s41598-026-57049-5

URL:https://doi.org/10.1038/s41598-026-57049-5