【東京農業大学】株式会社WAKUとウクライナの農地再生に向けた共同研究を開始
学校法人東京農業大学
更新日時:12月1日 10時30分

ーグルタチオンによる重金属汚染土壌の浄化と食料生産回復を目指してー

東京農業大学、株式会社WAKU ウクライナの農地再生に向けた共同研究を開始

ーグルタチオンによる重金属汚染土壌の浄化と食料生産回復を目指してー

 

東京農業大学(所在地:東京都世田谷区、学長:江口 文陽、教授:中村 進一、以下「東京農業大学」)と株式会社WAKU(所在地:岡山県岡山市、代表取締役CEO:姫野 亮佑、以下「WAKU」)は、国際連合工業開発機関(UNIDO)が推進する「日本企業からの技術移転を通じた新事業創造によるウクライナのグリーン産業復興プロジェクト」において、共同研究を開始しました。

本共同研究では、ウクライナの重金属汚染土壌における、グルタチオンを活用した植物の栽培技術確立とグルタチオン施用による浄化メカニズムの解明を目的としています。

 

研究背景

ウクライナでは、2022年以降の戦禍により農地の生産性が大幅に低下しています。特に、砲撃や軍用車両による鉛やカドミウムなどの重金属汚染が深刻化しており、農地の再生に向けた新しいアプローチが求められています。

グルタチオンは、植物体内で酸化還元バランスを保つ天然アミノ酸化合物であり、植物のストレス耐性向上や重金属吸収の抑制や促進に関与することが知られています。WAKUはこの特性を活かし、ウクライナでの農業生産再建に寄与する技術の実証を進めています。

 

研究内容

東京農業大学とWAKUは、本プロジェクトの中で重金属汚染土壌における、グルタチオンを活用した栽培技術、植物浄化技術の研究を実施します。中村 進一 教授の研究グループは、これまでに還元型グルタチオン(GSH)が植物体内での重金属輸送・蓄積を制御するメカニズムを明らかにしており、カドミウムや亜鉛の動態解析・遺伝子発現解析に強みを持ちます。

 

今回の共同研究では以下の内容を実施します。

 

 ● 植物体内外での重金属動態解析

  グルタチオン施用時における植物内のカドミウム・亜鉛等の移行挙動を解析し、植物浄化の適用可能性を判断します。 

 

 ● 伝子発現解析(RNA-seq解析)  

  グルタチオン応答性遺伝子を特定し、植物体内での解毒・防御メカニズムを分子レベルで解明します。

 

 ● 植物浄化手法の設計

  得られた知見を基に、ウクライナの重金属汚染に適した植物種および施用条件を提案します。

 

今後の展望

本共同研究で得られた科学的知見は、2026年以降に予定されるウクライナ国内でのパイロット栽培試験に活用される予定です。東京農業大学による基礎研究の成果をもとに、WAKUは現地の生産法人・研究機関・行政と連携し、グルタチオンを活用した農地再生の実証モデル構築を進めます。

 

今後は、ウクライナ国内での成果を踏まえ、ポーランド、ルーマニアなど周辺国への技術展開も視野に入れ、欧州全体での「グリーンリカバリー(環境再生型復興)」の中核技術として位置づけていきます。

 

また、重金属汚染土壌の課題は東欧だけでなく、アジア・アフリカなど世界各地に共通する問題であり、グルタチオンによる非化学的・非遺伝子組換えの浄化技術は、次世代の環境農学のモデルケースとなることが期待されます。

 

会社概要

会社名:株式会社WAKU

所在地:岡山県岡山市北区芳賀5303 ORIC101号室

代表者:代表取締役 姫野亮佑

設立:2022年7月

事業内容:グルタチオンを活用したバイオスティミュラント・肥料の研究開発および販売

URL:https://wakuwakudriven.com

 

▼この件に関するお問い合わせ

 東京農業大学 総合研究所事務部 担当:加納

 TEL.03-5477-2532 FAX.03-5477-2634 E-mal:nri@nodai.ac.jp

 

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 株式会社WAKU 広報担当

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