【注意喚起】就寝時の“足元”暖房にご用心! ~電気あんか、カイロ、電気マットの取扱いに注意~
独立行政法人製品評価技術基盤機構
更新日時:1月14日 10時00分

 新年を迎えて2週間がたちます。朝夕の寒さが身にしみて、まだまだ厳しい冬が続きますね。独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、 本所:東京都渋谷区西原]は、真冬に気を付けていただきたい3製品の事故事例を紹介し、注意を呼びかけます。

 今回ご紹介するのは
・就寝前に布団内の“足元”を温める「電気あんか」の事故。朝まで布団の中に入れたまま使用することで低温やけどを負ったり、電源コードの誤った取扱いが原因で発煙・焼損したりする事故が起きています。

・携帯用として使われる「カイロ」の事故。“足元”などの同じ部位に長時間接触させて使用することで低温やけどを負う事故が起きています。

・机の下などに置いて“足元”を温める「電気マット」の事故。布団の中に入れてやけどを負ったり、保管時等の誤った取扱いで、ヒーター線がよれて発煙・焼損したりする事故が起きています。

の3製品の事故事例です。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501082594-O8-qb2t6MzO

 冬の寒い日は、電気あんか、カイロ、電気マットが冷えた足元などを温めるのに活躍します。これら3製品は、電気ストーブや石油ストーブに比べて温度が低く、優しく温めてくれる印象のある製品ですが、正しく扱わないと思いがけない事故となるおそれがあります。
 事故の防止ポイントを確認していただき、残りの冬も、製品事故に遭わずに足元をあたたかくして過ごしましょう。

 
電気あんかで気を付けるポイント
就寝前に布団を温め、就寝時はスイッチを切るか、身体に触れない距離まで十分に離す。
 電気あんかを厚手のタオルや湯たんぽカバー、専用カバーなどで包んでも 「低温やけど」のおそれがあります。電気あんかを就寝前に布団の中に入れ、温まったらスイッチを切るか身体から十分に離してください。
電源コードを無理に曲げたり、引っ張ったりしない。電源コードを本体に巻き付けない。
 電源コードを傷めると、内部の芯線が断線、半断線状態となり発煙、発火または感電のおそれがあります。

 
カイロで気を付けるポイント
カイロを直接肌にあてない。使用部位、目的が特定されているものはそれを守る。
 カイロは体温を超えて発熱するため、直接肌にあてたり貼ったりして使用するとやけどするおそれがあります。やけどをしないよう布で巻くなど伝わる熱を減らしてください。また、カイロには特定の使用部位、目的をもったものがあります。使用部位、目的が特定されているカイロは、用途に応じた注意事項がありますので、各カイロの注意事項を守ってください。
就寝時には使わない。
 就寝時に使用すると布団の中で蓄熱するなどカイロが通常よりも高温になりやけどするおそれがあります。また、就寝時は熱いことに気付きにくく、長時間身体に接触する可能性もあり、低温やけどなど重度のやけどとなるおそれがあります。
同じ部位にあたる状態で長時間使わない。
 熱いと感じない温度でも長時間同じ部位が温められると低温やけどとなるおそれがあります。長時間でない場合も、違和感や熱いと感じたら直ちに使用を中止してください。
血流を圧迫する使い方をしない。
 カイロをベルトやサポーターなどで圧迫するようなご使用はお控えください。圧迫によって血流が制限されると熱が放散されにくく、また、そうした状態で同じ部位が温められるとやけどするおそれがあります。
こたつの中や暖房器具の近くで使用しない。
 こたつの中、暖房器具の近くなどでは、急激に温度が高くなるため、使用しないでください。

 
電気マットで気を付けるポイント
本体を折り曲げたり、しわの寄った状態で使用したりしない。
 本体を折り曲げた状態またはしわの寄った状態で使用するとヒーター線を傷付け故障の原因となります。また、ソファーやクッションなどやわらかい物の上で使用することでもヒーター線が傷付き故障します。ヒーター線が傷付いた状態で使用すると火災の原因となるおそれがあるため、ヒーター線が傷付いた製品はご使用にならないでください。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501082594-O3-p4jHqV2t

布団の中に入れて、就寝用の暖房器具として使用しない。
 就寝時に使用すると電気マットへの接触に気付きにくく、低温やけどのおそれがあります。布団などの保温性のあるもので覆って使用すると、異常発熱によりやけどのおそれがあります。
 また、就寝時は寝返りや蹴るなどの動作により、ヒーター線がずれたり、傷付いたりする可能性がありますので、布団の中に入れて使用しないでください。
針を刺すなど、本体内部のヒーター線を傷付けるような使い方をしない。
 本体に針やピンを刺したり、いすや机など硬いもの、重いものを載せると本体内部のヒーター線を傷付けて故障するおそれがあります。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501082594-O4-0B1io7b6
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/danbou/dan_safety.pdf

 
低温やけどとは
 温かいと感じる程度の温度でも、長時間にわたって同じところの皮膚に触れていると、皮膚温度が上がり、皮下の細胞組織などが壊死するため「低温やけど」になります。
 44℃では3~4時間、46℃では30分~1時間、50℃では2~3分で「低温やけど」になると言われています(※1)。また、熱源に触れた部位が圧迫されていると、より短い時間で「低温やけど」になります。
 一般的な「やけど」は皮膚の表層のみで起こりますが、「低温やけど」は皮膚の深部にまで及び、皮下組織が壊死する場合があるため、重傷事故に至るおそれがあります。
 特に高齢者の場合、若年者に比べて感覚が鈍く、熱源に接する時間が長くなるため、重症化する傾向があります。
 また、幼児や身体の不自由な方、糖尿病の方が使用する場合は特に注意が必要と言われています。

(出典)山田幸生「低温やけどについて」製品と安全第72号、製品安全協会
(※1)血流や皮膚感覚は個人差が大きく、接触時間によっては、44℃以下でも低温やけどになるおそれがあります。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501082594-O7-3623f1qU

 
事故事例
電気あんかの事故
 電気あんかは就寝前に布団の中を温める製品であり、就寝時も布団に入れたまま使用すると足など電気あんかに触れている部位に低温やけどを負うおそれがあります。また、電源コードに無理な力を加えて使用したり、収納したりすると、火災を起こす危険があります。

■電気あんかでの低温やけど
 事故発生年月 2015年1月 (兵庫県、10歳代・男性、重傷)
【事故の内容】
 当該製品を使用中、太ももに低温やけどを負った。
【事故の原因】
 当該製品は正常に動作しており、使用者が両膝に挟んで就寝し長時間太ももに触れさせたことから低温やけどに至ったものと考えられ、製品に起因しない事故と推定される。
なお、本体表示や取扱説明書には、「低温やけど防止のため、身体から離して使う、腰の下や足に挟んで使用しない、折り曲げて使用しない。」旨、記載されている。

■電気あんかからの出火
 事故発生年月 2018年2月 (京都府、80歳代・男性、拡大被害)
【事故の内容】
 電気あんかを使用中、電源コードが焦げて周辺を焼損した。
【事故の原因】
 本体側の電源コードプロテクター付近に過度な応力が繰り返し加わったため、芯線が断線し、スパークが生じたものと推定される。
 なお、取扱説明書には、「電源コードを傷つけたり、無理に曲げたり引っ張ったりしない。火災の原因になる。」旨、記載されている。

 
カイロの事故
 カイロを就寝中に使用すると、布団の中で蓄熱して製品表示にある最高温度を超える場合があり、やけどを負うおそれがあります。また、他の暖房器具と併用するのも製品が高温になりやけどを負うおそれがあります。

■カイロでの低温やけど事故
 事故発生年月 2018年2月 (神奈川県、70歳代・女性、重傷)
【事故の内容】
 当該製品を使用して就寝中、足に低温やけどを負った。
【事故の原因】
 使用者が就寝時の布団の中で使用が禁止されている当該製品を使用したことから、低温やけどに至ったものと推定される。

 
電気マットの事故
 電気マットも、長時間接触していると低温やけどを負うおそれがあります。また、ソファーやクッションなどやわらかい物の上で使用すると、電気マット内部のヒーター線がずれたり傷付いたりして故障の原因となり、そのまま使い続けると発煙や焼損につながるおそれがあります。

■電気マットを就寝時に使用しヒーター線がずれたことによる火災事故
 事故発生年月 2022年3月 (富山県、90歳代・男性、拡大被害)
【事故の内容】
 当該製品を布団に入れて使用後、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生した。
【事故の原因】
 当該製品を就寝時の暖房器具として足下付近で使用していたことから、寝返りや足で蹴る等により、ヒーター線がずれて重なったため、部分的に過熱して焼損に至ったものと推定される。
 なお、取扱説明書には、「就寝用暖房器具として使用しない。座布団等保温性の良いものを長時間のせない。本体を折り曲げたり、しわの寄った状態で使用しない。」旨、記載されている。

 
「NITE SAFE-Lite(ナイト セーフ・ライト)」のご紹介
 NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツール「NITE SAFE-Lite(ナイト セーフ・ライト)」のサービスを行っています。製品の利用者が慣れ親しんだ名称で製品名を入力すると、その名称(製品)に関連する事故の情報やリコール情報を検索することができます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501082594-O6-288sR326

 
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 製品安全センターの概要
 NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。