カカオ成分の一種である脂肪酸トリプタミドが寿命を延長することをショウジョウバエで確認
株式会社 明治
更新日時:8月3日 19時35分

超高齢化社会における健康寿命延伸に向けた可能性

 株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)と東京工科大学(学長:大山 恭弘) 応用生物学部 免疫食品機能学研究室 今井伸二郎教授、山梨学院短期大学(学長:遠藤 清香) 食物栄養科 萱嶋泰成教授らの研究グループは、カカオ成分の一種である脂肪酸トリプタミドを摂取することで、生命維持に重要なサーチュインという酵素が特異的に活性化し、ショウジョウバエの寿命が延長することを確認しました。この酵素の活性化は老化抑制に有効で、肥満や糖尿病などのメタボリックシンドロームの予防にも効果があると言われています。
 日本をはじめとする先進国では平均寿命が延びていますが、平均寿命と健康寿命には10年ほどの開きがあります。また、健康寿命の延び幅が男女ともに平均寿命の延び幅と比べて小さいことも社会課題となっています。超高齢化社会の中、当該成分を持つ食品によって健康寿命の延伸に寄与することができる可能性が示唆されました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202208034743-O5-rA258zjD
厚生労働省HPより
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-02-06.html

 当社は、今後も健康課題と向き合った研究を続け、人々が笑顔で健康な毎日を過ごせる未来の実現を目指してまいります。

【研究概要】
 カカオは古くはアステカ王朝時代から健康と長寿に良いと食されており、さまざまな有効成分が含まれています。特にカカオポリフェノールは、活性酸素を抑える働きを有し生活習慣病に有効であることを多くの研究者が報告しています。しかしながら、寿命延長に関わる有効成分についての知見は多くありません。
 そこで今回、ポリフェノール以外のカカオ成分が寿命を延ばす可能性の検討を行いました。カカオ成分の一種である脂肪酸トリプタミドを添加した餌をショウジョウバエに食べさせると、通常の餌を食べさせた場合と比べ平均寿命が4日(14%)程度延びました。人に置き換えると81.6歳※1だった寿命が93歳まで延びる換算です。さらに、ショウジョウバエに壁上り運動をさせると、通常の餌を食べた場合に比べて加齢に伴う運動能(筋力)の低下を防ぐ効果も確認されました。これにより、カカオの継続的摂取が単に寿命を延長するのみならず、健康寿命延伸に繋がる効果がある可能性を明らかにしました。なお、当研究成果は2022年7月15日にScientific Reports (2022 12(1):12080) (https://www.nature.com/articles/s41598-022-16471-1)に掲載されています。
※1日本人男性の平均寿命 (厚生労働省 令和2年簡易生命表)より

 発表内容
【タイトル】
Fatty acid tryptamide from cacao elongates Drosophila melanogaster lifespan with sirtuin-dependent heat shock protein expression
日本語訳:カカオに含まれる脂肪酸トリプタミドは、サーチュイン依存性のヒートショックタンパク質発現によりショウジョウバエの寿命を延ばす

【方法ならびに結果】
(1)カカオに脂肪酸トリプタミド21※2および脂肪酸トリプタミド23※3が含まれることを確認しました。
(2)脂肪酸トリプタミドが、老化や肥満抑制に関与する酵素のサーチュイン※4を活性化させることを確認しました。また、脂肪酸トリプタミドを肝細胞や脂肪細胞へ添加したところ、脂肪の蓄積を抑える効果が認められました。
(3)脂肪酸トリプタミドを添加した餌をショウジョウバエに食べさせると、通常の餌を食べさせた場合と比べ平均寿命が4日(14%)程度延びました(図1)。ショウジョウバエの寿命延長効果が報告されているブドウ種子由来のレスベラトロールと比較しても、脂肪酸トリプタミドの方が強い効果を示す結果が得られています。さらに、脂肪酸トリプタミドを添加した餌を食べさせたショウジョウバエは、壁上りをさせると、通常食に比べて加齢に伴う運動能(筋力)の低下を防ぐ効果も確認されました(図2)。

※2 脂肪酸トリプタミド21:トリプトファン代謝物のトリプタミンにベヘン酸 (脂肪酸)が結合した物質
※3 脂肪酸トリプタミド23:トリプトファン代謝物のトリプタミンにリグノセリン酸(脂肪酸)が結合した物質
※4サーチュインは、脱アセチル化酵素であり、細胞の維持や増殖に関与するアセチル化タンパク質のアセチル基を取り除く働きがある。この酵素は、抗老化・寿命延長に関わるサーチュイン遺伝子が活性化されることにより生成される。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202208034743-O12-Dh8N7VX9
各群100匹、Control:対照、Res:レスベラトロール、
Fa-Trp21:脂肪酸トリプタミド21、Fa-Trp23:脂肪酸トリプタミド23、有意差*: p < 0.05、Controlと比較

 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202208034743-O10-KqTkY7YR
Control:対照、Fa-Trp21:脂肪酸トリプタミド21、有意差*: p < 0.05、Controlと比較

【平均寿命と健康寿命の推移】
図1. ショウジョウバエの寿命延長効果
図2. ショウジョウバエの壁のぼり実験